歯科医院の患者満足度、ポイントは院内環境
メディネットが歯科医院9施設で行った患者満足度アンケートの結果によると、歯科医院の満足度は、「待合室の環境」「診察室の環境」に非常に強い関連がありそうだということが分かりました。
歯科医院の満足度と各設問項目の相関係数(r)を求めたところ、診察室の環境(r=0.918)、待合室の環境(r=0.841)と、院内環境と歯科医院の満足度に非常に強い関連があり、院内環境の満足度が上がると、歯科医院の満足度も上がるようです。
- ワンポイント統計用語
関連の強さを示す“相関係数” - 関連の強さは、相関係数で表されます。
相関係数が1に近いほど正の相関(Aが増えるとBも増える)が強く、-1に近いほど負の相関(Aが増えるとBが減る)が強くなり、0に近いほど、ほぼ関連がありません。
また、相関係数が0.8以上あると非常に強い関連があるといえます。
【診察室の環境】相関係数 0.918
【待合室の環境】相関係数 0.841
右上がりの直線に近い形=院内環境の満足度が上がれば歯科全体の満足度も上がっている
また、待合室、診察室の満足度の以外にも、待ち時間(0.781)、診療・技術(0.731)も歯科医院の満足度に強い関連があるようです。
【待ち時間】相関係数 0.781
【診断・技術】相関係数 0.731
アンケート設問項目と満足度と相関係数(関連の強さ)
nは有効回答数
歯科医院 (nは有効回答数) |
診断・技術 | 説明の明確さ | 治療費 | 医師の対応 | スタッフの対応 | 待ち時間 | 待合室の環境 | 診察室の環境 | 利便性 | 総合満足度 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
A歯科(n=269) | 94.1 | 85.5 | 65.4 | 94.4 | 96.3 | 81.0 | 89.6 | 93.7 | 87.0 | 79.9 |
B歯科(n=13) | 100.0 | 92.3 | 69.2 | 100.0 | 92.3 | 69.2 | 84.6 | 92.3 | 92.3 | 69.2 |
C歯科(n=30) | 86.7 | 86.7 | 63.3 | 76.7 | 86.7 | 46.7 | 73.3 | 80.0 | 90.0 | 53.3 |
D歯科(n=12) | 83.3 | 50.0 | 25.0 | 91.7 | 100.0 | 41.7 | 75.0 | 83.3 | 91.7 | 66.7 |
E歯科(n=14) | 100.0 | 92.9 | 71.4 | 85.7 | 85.7 | 92.9 | 92.9 | 100.0 | 92.9 | 85.7 |
F歯科(n=98) | 93.9 | 92.9 | 79.6 | 94.9 | 93.9 | 76.5 | 92.9 | 94.9 | 82.7 | 76.5 |
G歯科(n=36) | 83.3 | 69.4 | 58.3 | 75.0 | 86.1 | 69.4 | 80.6 | 80.6 | 72.2 | 61.1 |
H歯科(n=278) | 88.1 | 83.1 | 62.2 | 89.2 | 91.7 | 76.6 | 84.2 | 88.1 | 70.1 | 65.5 |
I歯科(n=38) | 86.8 | 84.2 | 76.3 | 89.5 | 92.1 | 55.3 | 81.6 | 84.2 | 71.1 | 55.3 |
相関係数 | 0.731 | 0.301 | 0.170 | 0.465 | 0.151 | 0.781 | 0.841 | 0.918 | 0.442 |
では、歯科医院の満足度と非常に強い関連がある院内環境は、どうすれば満足度が上がるのでしょう?
例えば、待合室は、
診察室は、
など、それぞれの場所を過ごしやすい環境に整えることで、待合室、診察室の満足度を上げることができると思われます。
診療・技術に関しては、歯科医師、スタッフとも日々研鑚しておられるでしょう。
待ち時間も、予約制を取り入れるなど短縮を図っている歯科医院も少なくありませんが、待ち時間をゼロにすることは、とても難しい事です。
しかし、待ち時間を有意義に過ごせる「待てる院内環境」をつくることは、院内環境の満足度を上げることにもつながります。
院内環境を整えることで、待ち時間対策と歯科医院の満足度を上げることができるのではないでしょうか。
調査概要
- 調査対象:外来患者(9歯科医院)
- 調査方法:iPadまたは質問用紙によるアンケート回答
- 調査期間:平成24年7月~平成24年12月
- 有効回答者数:外来患者800名
-
- 回答者の属性:
- 【男女内訳】男性 42.4%、女性 56.8%、無回答 0.9%
- 【年代別構成】10代未満 6.6%、10代 8.1%、20代 9.1%、30代 15.1%、40代 15.4%、50代 13.0%、60代 19.9%、70代以上 12.4%、無回答0.4%